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フードチェーン情報公表JASの制定に向け規格原案を提案​

一般社団法人スマートフードチェーン推進機構​

イベント2022-12-13

フードチェーン情報公表JASは農作物の生産・流通の関係者はもちろん、規格の活用に関心を持つ多くの企業、団体の注目を集め、産品をベースとした流通プロセスを保証するまったく新しいJAS規格として制定に向けた準備が進められています。

高度なトレーサビリティを実現するフードチェーン情報公表JAS

フードチェーン情報公表JASへの理解を深めるための検討フォーラムが2022年7月25日に開催され多数の参加者を集めました。フードシステムを支える生産、加工・流通、販売・消費、資源循環、育種/品種改良におけるデータ共有を可能とする情報連携基盤としてのukabisの役割と、ukabisを活用することで、フードチェーン情報公表JASが産品の流通プロセスを認証するまったく新しい規格が実現可能となることを提案しました。

フードチェーン情報公表JASは農林水産大臣が定める規格として令和4年度内の制定、令和5年からの運用を目指して準備が進められています。規格に合致した産品の取り扱いを行っている産地(生産者)、流通(市場や配送センター)、販売(小売)などがグループとして認証を受けることで、産品にJASマークを付与できるようになります。産品にJASマークが付けられることで、トレーサビリティや温度管理など、「流通工程管理基準に従った管理」に合致した産品を消費者が安心して購入できるようになります。

規格の全体構成

食品流通を科学的なデータに基づいて保証

本規格の新しさ、そして最大の特長は「産品ベースで流通プロセスを保証するJAS規格」であることです。流通工程は生産者から出荷、卸・仲卸あるいは配送センター、小売とつながっており、それぞれの情報化が遅れていたこともあり、これまでそのプロセス全体のトレーサビリティや流通状態を一元的に把握し、情報提供することができませんでした。フードチェーン情報公表JASは、ukabisを活用することで、産品のトレーサビリティや、産品の品質保持に必要とされる配送保管温度、衝撃、その他の情報も合わせて、認証の対象としています。
例えば、フードチェーン情報公表JASでは、産品の種類、品種、系統ごとに品質を維持するのに適正な温度範囲を流通工程管理基準として設定することが可能です。この設定は実証実験を含め多大な作業を経て、客観的、科学的なエビデンスに基づいて行われます。現在はレタス、メロン、ぶどうなどの流通工程管理基準が整備されており、続いていちごの検討が進められています。柔軟に規格を定められることから、今後多くの産品で流通工程管理基準ができると期待されます。

フードチェーン情報公開JASの認証範囲と要求事項

・認証対象となる「流通工程」は、生産者の出荷から小売業者等の入荷までのプロセス
・プロセスを担う「流通工程管理者」について、3つの「要求事項」を規定

 

データ連携基盤ukabisを活用することで、流通行程管理規格基準に基づいて、産品の産品のトレーサビリティと流通品質を保証する取り組みは世界的に見ても例のない取り組みであり、新しい社会システムのモデルということができます。

本フォーラムのご意見を踏まえ、現在は農水省、FAMICとの協議・調整に基づき、フードチェーン情報公表JASの規格原案の修正を終え、レタス、メロン、ぶどうの3品目について、農水省に申出を行いました。

食の高付加価値化に向け、より多くの賛同と参加をいただき、フードチェーン情報公表JASがより広い範囲で積極的に活用されていくことを目指して、今後も取り組んでいきます。

注:フードチェーン情報公表JASは通称です。現在、検討されている名称は「フードチェーン情報公表農産物」です。これは他の産品へ拡張可能な規格として検討されているためです。