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ルーティング・アルゴリズム技術によって農産物流通の効率化を目指す

​​​SWAT Mobility Japan株式会社 服部颯也

取り組み紹介2023-02-07

SWAT Mobilityは「オンデマンドバス運行アプリ」「配送ルート最適化システム」などを7カ国で展開し、日本では約​100​台の車両を30地域で稼働させています。農産物流通の最適化をukabisとの連携で実現する取り組みを進めています。

独自開発の「ルーティング・アルゴリズム」

SWAT Mobilityは2015年にシンガポールで設立されたスタートアップで日本法人は2020年に設立されました。「交通分析・導入シミュレーション」「オンデマンドバス運行アプリ」「配送ルート最適化システム」を提供し、活動はシンガポール、タイ、フィリピンなど7カ国に広がり、日本では約100台の車両を30地域で稼働させています。

強みは効率的な運行ルートをシミュレーションし提示できる独自開発の「ルーティング・アルゴリズム」にあります。特長は複数の移動主体が複数の地点を経由して移動する場合に効率的なルートを示せる点にあります。
例えば、乗客150人が8台のバスを利用する場合の組み合わせの数は136桁にも及び、それらを計算して最適なルートを導き出すことは現代のコンピュータをもってしても不可能です。
こうしたなかで、なるべく良い答えに早くたどり着くことができることを目指して開発されたのがSWATのルーティング・アルゴリズムです。

ルーティング・アルゴリズムによる「配送ルート最適化」

SWATのルーティング・アルゴリズムは世界的なベンチマークで世界記録を持ち、シンガポールと日本で特許を取得しています。しかし、どんなに早く結果を出せたとしても、運用する現場で実際に使えるかどうかには、多くの要素から影響を受けます。
特に必要なのがスピード情報と地図情報です。スピード情報はGPSデータを元に機械学習を行って道路ごと、曜日ごと、時間帯ごとに出せる運行スピードのメッシュを設定しています。地図情報は通れる道・通れない道や道路規制などの情報を加味する場合に利用します。

精度の高いルーティングを実現する3要素:アルゴリズム、スピード情報、地図情報

農産物の共同配送の実現を目指して

ルーティング・アルゴリズムを物流領域に適用したサービスの1つが「配送ルート最適化」です。シンガポールで食料品の配車・ルート最適化を提供した実績があり、日本では佐川急便と実証実験を行っています。

ルートジェネレーターで生成されたルートを確認するドライバーアプリ

配送ルート最適化は、生産者から市場、市場から販売へという流通で活用できる可能性が高く、特に共同配送の仕組みづくりの支援に適していると考えられます。現状は生産者や流通、販売と輸送会社がほぼ1対1でつながっていますが、これを共同配送に変えることによる効率化のメリットは大きいと予想されます。

配送ルート最適化は、前提として規定のフォーマットにデータを入力し、インポートする必要があります。
ukabisはデータ連携基盤として、農業に関わる多くの生産者、流通、販売のデータを共有する場になるため、基本データが蓄積されることになります。これらのデータを配送ルート最適化のために活用できる環境を整えられれば運行ルートをすばやく提示できるようになる可能性があります。予想されるコスト削減や効率化に加えて、どのような価値が創出できるのかを実証実験などを通じて、多くのステークホルダーと検証していきたいと考えています。