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ukabisを活用してこども食堂への支援を実現する-クラダシ- Part 1

株式会社クラダシ 人事広報部 広報・基金運営G グループリーダー 中野奈緒子

実証報告2022-12-16

フードロス削減を目指し、食べられるのに捨てられてしまう商品をおトクに販売するKuradashiは着々とユーザー、協賛企業を増やし、新しい方法で課題解決を実践しています。その運営企業のクラダシがukabisを活用してこども食堂の支援を始めようとしています。

クラダシが実現したいこども食堂の支援に向けた協力

フードロス削減を目指すソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」はまだ食べられるにも関わらず廃棄可能性のある食品をおトクに販売し、売上の一部を社会貢献活動団体に寄付する仕組みを展開しており、2022年9月末時点で会員数39万人以上、パートナー企業1,085社、支援先団体数は15という規模に成長しています。この日本初の取り組みであるKuradashiを運営するクラダシは、新たにこども食堂の運営を支援するために、ukabisを活用し企業とこども食堂とのマッチングを始めようとしています。

従来クラダシはフードバンク(製造工程で発生する規格外品などを引き取り、福祉施設などへ無料で提供する活動)を支援していましたが、こども食堂への直接的な支援はありませんでした。
そのような中、ukabisの社会実装に向けた取り組みである「新規ソリューションの検討」の募集が始まり、食品の提供を希望する大阪府内のこども食堂と企業が保有する食品をマッチングする方法を模索していたクラダシは「こども食堂への安定的食材提供の仕組み作りと実証」を提案し、採択されました。それ以降、コンソーシアムと協力しながら、取り組みが進められ、2022年2月には1度目の実証実験を実現しています。

昨年度(2022年2月)のスキーム図

実現可能性の検証で明確になったメリット・デメリット

この実証実験では舞台となった大阪市の社会福祉協議会と連携し、参加するこども食堂を募り、5つのこども食堂・社会福祉協議会の参加を得ています。食品を寄贈する側としては、もともとフードバンク支援で実績を持っており、フードロス削減の取り組みを積極的に進めている積水ハウス、三井住友銀行が参加し、配送担当として東京・日本交通の参画を得ました。
ukabisを活用したデータ連携では、ukabisにエントリーされた提供企業から寄贈される食品の情報を取得し、すでにフードバンク向けに開発実績のあるマッチングシステムにデータを展開し、こども食堂から発注を受ける形としました。配送は近距離の場合はタクシーで、長距離はチャーターしたトラックで行いました。

この実証実験ではいろいろな実現可能性が確認できました。良かった点の1つは近距離でのタクシー配送の効率の良さ、2つめは災害用備蓄食品のニーズが明確に把握できたこと、3つめとしてダイレクトにこども食堂に届けることができるため、賞味期限までの期間が短いものでも対応可能であることなどがわかりました。
一方で事前の準備を周到に行った上で行った実験であることから、システムの特性である「早く注文したところが入手できる」という実際の運営に近い部分の検証はできませんでした。
全体を通してみると、クラダシの特長であるシステム活用による省力化がそれほど機能せず、人手によるマニュアル作業やコミュニケーションの発生がそれなりに多いということもわかりました。

実証実験をすることによって新たに明確になった課題は、2022年10月~11月に行われる第2回の実証実験で検証を進めます。
クラダシの考えるオープンな仕組みを活用した支援を行うという考え方はそのままに、こども食堂の参加数を増やしてリアルな支援状況に近づけ、また、人手によるマニュアル作業やコミュニケーションの部分について、どのようにシステム化していくのかというポイントを中心に検証を行う方針です。
今回の実証実験では、こども食堂からの参加申し込みは20団体以上、支援はマルハニチロから冷凍食品が約2,660袋提供される予定です。

今年度のスキーム図

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